【免許取得編|第13話】~卒業検定~そしてライダーになる
ついに迎えた卒業検定当日。
この数カ月の努力と汗と身体各所の痛みのすべては、この日のために。
午前10:50 集合。緊張で食欲ゼロ
受付を済ませ、視力検査と簡単な身体能力検査。問題なし。
だが胃はきゅーっと縮んで食べ物が喉を通らない。
缶コーヒーだけ飲んでおく。
「今日ダメならまた受ければいい」
そう思いたいけど、そう思えない。
11:20 説明開始。試験コースはBコース!
自分を入れて7名の受験者が集合。小型から大型まで。
担当官から今日の流れの説明。
そして試験コースの告知――
Bコースです。
最後まで不安だったクランクが先に終わるコース。
よっしゃ。
赤青緑にチーム分け。俺は「赤チーム3番手」
赤3人・青2人・緑2人と3チームに分かれ、各色1人ずつ順に試験スタート。
自分の番が来るまで、場内を走る他の受験者を眺めながら深呼吸を繰り返す。
朝までの小雨が嘘みたいに、外はカンカン晴れ。
路面が乾いた…あー良かった…。
いざ発進。静かすぎる時間
順番がきた。
他6名が終わり、最後の一人。
ここまで一発アウトのようなミスを出した人はいない。皆すげぇな。
場内から自分と試験官以外誰もいないプレッシャーの中、バイクを発進操作する。
いつも以上に、ひとつひとつ丁寧に。
- クランク
- S字
- スラローム
- 一本橋
- 急制動
- 踏切
- 坂道発進
無線から何の指摘も来ない。
ただ淡々と、流れるように進む。
そして一通りの課題をこなし、所定の場所に停車してエンジンを切り、右手を上げて終了。
…え? これで終わり?
「全員、合格でーす」
教室に戻ると、他の受験者はもう全員座っている。
しばらく雑談が続いた後、試験官が入ってきて一言。
「皆さん、合格でーす」
一気に膝の力が抜けた。
安心と疲労と喜びが同時に押し寄せてきて、
危うく泣きそうになる。
これにて教習終了。
合格証明書をもらい、あとは免許センターでの手続きのみ。
緊張も恐怖も、
転倒の痛みも全部含めて、
貴重な経験やった。
でもまだ教習車バイクを走らせただけ。
公道デビューはこれから。
でも確かに、今日、俺はライダーになったんやなー。


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